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​Act Ⅲ が、始まる。

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2015年 The Glory (of phenomenon): Act Ⅰ/TEZUKAYAMA GALLERY(大阪)

2016年 中景 -The Glory (of phenomenon): Act Ⅱ-/HOTEL  ANTEROOM KYOTO | GALLERT9.5(京都)

​2022年 中景: Act Ⅲ「岩は木のことを知らなかった。」をTEZUKAYAMA GALLERYとLEESAYA(東京)の2都市で同時開催。

​「岩は木のことを知らなかった。」

「中景」とは何か。この問いを契機とした展覧会も“Act Ⅱ”から6年が過ぎようとしている。少し間を置いた(だが自分にとっては唐突に)2022年夏、この問題について再考する。

 

大阪と東京、距離を隔てた2つのギャラリーで同時開催する今展は、大阪は二藤建人と川田知志による、東京では山下耕平と須賀悠介の組み合わせで行う。ただし、二人展ではなく、あくまで4人による展覧会であることに注目してほしい。

 

昨年秋、本展に向け準備をするにあたり、まずは参加メンバーの共有体験として、愛知県新城市にある乳岩峡を周遊することにした。遊歩道脇の沢筋には巨岩が点々と転がり、上部には大きな木がその岩を掴むように根を張っていた。副題にある「岩は木のことを知らなかった。」とは、その様子を見た際に川田が発した言葉である。

 

ここで岩と木の関係を考えてみる。岩と木の間に土を見て取ることはできない。まさに岩と木が接続している状況であるわけだが、「中景」がないということではなく、むしろそのあいだの距離や空間、時間についての想像が掻き立てられる一場面であった。またこの言葉は、この展覧会の構造そのものを表しているとも言える。接触しているような、曖昧なような、だが確かに繋がっている。距離を持ちながらも一つの展覧会であろうとする姿勢そのものではないだろうか。

 

このシリーズは、これまで身体性を手掛かりとして作家を選出、構成してきた。山下は、登山という身体経験による距離感覚の測り直しで現れる現在位置を、コラージュを中心とした様々な手法で表現する。須賀は、触覚と視覚のあいだ、破壊と創造のあいだを行き来し、彫刻的表現を中心した発表を行う。二藤は、愛や重力など不可視の力学を、パフォーマンスを多分に孕んだ立体作品として可視化する。 そして、今展から参加する川田は、フレスコ画という古典技法を引用し、場所(その多くは巨大な壁面)と向き合う中で、絵画空間と身体との無意識の調整を取り計らう。

 

新型コロナウィルスの感染拡大は、人と人との距離を隔て、移動や対面でのコミュニケーションが大きく制限される中、様々なレベルにおいて、距離に対する認識や感覚が大きく揺さぶられている。この展覧会を通じて、「中景」あるいはあいだの感覚に少しでも触れる機会となることを期待したい。

2022年5月

山下耕平